実区間全体のσ加法族がボレル集合になること
最終更新:2021/10/19
非専門家が書いています. 十分に批判的に読んで頂くようお願いいたします. 間違い・疑問点などあれば, ぜひコンタクトフォームへ連絡いただけると幸いです.
命題
$\mathbb{R}^1$ のBorel集合を $\cB^1$ と記す. すなわち, $\mathbb{R}^1$ の開集合全体を $\cO$ としたとき, $\cB^1 = \sigma[\cO]$.
また, $\cI$ を $\mathbb{R}^1$ における区間の全体, $\cJ$ を $\mathbb{R}^1$ における区間塊の全体とする.
このとき,
なお, $\sigma[\cdot]$ は, $\cdot$ を含む最小の $\sigma$-加法族である.
証明
$\sigma[\cI] = \sigma[\cJ]$ を示す.
常套的に, $\subset$, $\supset$ が成立することを示す.
$\subset$
$\cI \subset \cJ$ なので, もちろん $\sigma[\cI] \subset \sigma[\cJ]$ である.
$\supset$
${}^{\forall}E \in \cJ$ は $E = I_1 + \cdots + I_n$, $I_k \in \cI$ とかけるので(そもそも, これが区間塊の定義である), $E \in \sigma[\cI]$.
よって, $\cJ \subset \sigma[\cI]$ であり, ただちに $\sigma[\cJ] \subset \sigma[\cI]$ とわかる.
$\cB^1 = \sigma[\cI]$ を示す.
$\supset$
ここでは, 区間を左半区間と定義しており, ${}^{\forall}I \in \cI$ は $I = (a, b]$ と記せる.
いま,
とおくと, $J_n = (a, b_n)$ は開区間. かつ,
であり, $J_n$ が開より, $\bigcap_{n=1}^{\infty} J_n$ も開, よって,
これで, ${}^{\forall}I \in \cI$ に対して $I \in \cB^1$ が示せた. これで, $\cI \subset \cB^1$ がわかり, ただちに $\sigma[\cI] \subset \cB^1$ もわかる.
$\subset$
まず, ${}^{\forall}G \in \cO$ を考える.
いま, ${}^{\forall}x \in G$ に対し, $x$ を内部に含むような左半区間
を取ることができる. $J_x = (a_x, b_x)$ と定義すると, これは開区間でかつ, $x \in J_x$. よって,
ここで, Lindelöfの被覆定理より, 可算個の $x_1, x_2, \ldots \in G$ が存在して,
といえる. これより, あきらかに
である.
一方, 各 $x_n$ に対して $I_{x_n} \subset G$ なので $\bigcup_{n=1}^{\infty} I_{x_n} \subset G$. よって, $G = \bigcup_{n=1}^{\infty} I_{x_n} \in \sigma[\cI]$. これで, $\cO \subset \sigma[\cI]$ だとわかった. $\sigma[\cO] = \cB^1$ なので, $\cB^1 \subset \sigma[\cI]$ が示せた.
$\blacksquare$
感想・参考文献
余談
$\mathbb{R}^N$ の区間, 区間塊に対しても同様に,
が成立する. というか, この記事は参考文献のこの一般化された定理を数直線に制限して示したものである.
感想
Lindelöfの被覆定理については, またいつか証明を載せたい.
参考文献
伊藤 清三 ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)