Cantor集合・Cantor函数
最終更新:2021/09/24
Cantor集合・Cantor函数の性質. 測度論など勉強していると何かとでてくるCantor集合・Cantor函数について, 少しまとめておく.
非専門家が書いています. 十分に批判的に読んで頂くようお願いいたします. 間違い・疑問点などあれば, ぜひコンタクトフォームへ連絡いただけると幸いです.
Cantor集合
定義 ( 作り方 )
区間 I=[0,1] とする. ここから, 以下のルールにそって開区間をどんどん抜いていく. そして, 残った閉区間がカントール集合である.
以下のstepを無限回繰り返すとカントール集合 C が得られる.
- step1: まず, 中央の開区間 (13,23) を取り除く.
- step2: 残った2つの閉区間から (132,232), (13+132,23+232) を取り除く.
- step2: 残った4つの閉区間から同様に, 三等分したときの真ん中の開区間を抜く.
- これを無限回繰り返す.
図で見ると一目瞭然だと思う. 以下のように赤い区間を取り除いていって, 残った青い部分がカントール集合.

以下のように定義しても同じ集合が得られる.
性質1:カントール集合は測度0, つまり零集合
証明
上に示したstep1, 2, ... で取り除かれた可算無限の開区間の合併 ( union ) はまた, 開であり, それを G とする. また, n 回目に取り除かれた開区間の測度 ( Lebesgue測度, 長さ ) は 2n−113n なので, G の測度 m(G) は,
となる. よって, 残った区間 ( カントール集合 ) の測度は,
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性質2:カントール集合は可付番でない
可付番集合は零集合であることはよく知られている. しかし, 逆は成立しない. カントール集合がその反例である.
証明の準備 : カントール集合の3進記法
まず, I の元は全て
とかける. これ簡単に,
とかくことにする. これも図で見ると簡単である. 以下のように, 区間 I を3等分していく.

上の式で言っていることは, ある x が上の式のように記されているとき,
- α1=0 ならば x は a1 に属する,
- α1=1 ならば x は b1 に属する,
- α1=2 ならば x は c1 に属する.
- α2=0 ならば x は a2 に属する,
- α2=1 ならば x は b2 に属する,
- α2=2 ならば x は c2 に属する.
これらを踏まえると, 取り除かれる集合は (0.α1α2⋯αn−11,0.α1α2⋯αn−12) と表されて, かつ α1,α2,…,αn−1 は 0か2となる開区間の集合である. よって, もし x∈ 取り除かれる区間ならば, あるこのように表される区間があって, 0.α1α2⋯αn−11<x<0.α1α2⋯αn−12 なので, x の αn=1 である.
さて, 逆に x があって, それを3進記法で表したとき, それが1を含むならば,
とかくことができる. ここで, 1は一番最初にでてくる1である. もし,
ならば, これは取り除かれる区間の左端なので, x∈C である. なぜなら, 取り除かれる区間は開集合, つまりカントール集合は閉集合なので.
の場合も, これは取り除かれる区間の右端なので, x∈C である. ここで, x_, ¯x は以下のうにも書けることを考慮しよう. ( これは, 1.0が0.9999...とも書けるというのと同じはなしである. )
今 α1…αn−1∈{0,2} であったことを思い出すと, カントール集合の元は3進記法を使うとき, 0, 2だけで表記できると分かる.
可付番でないことの証明
対角線論法を使う. まず, C を可付番としよう, すなわち
である.
今, y=0.β1β2⋯ とする. ただし, βn は, αnn が0のとき2, 2のとき0とする. すると, β1,β2,…∈{0,2} だから y∈C. しかし, βn の決め方から, y∉C でもあり, これは矛盾である.
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Cantor函数
定義 ( 作り方 )
厳密な定義は, 多くの教科書に載っているので直感的に書く. 次の手順で, カントール函数をI=[0,1] 上に定義していく. カントール集合 C を作るときの過程を思い出そう. C を作るときに
- 1回目に取り除かれる区間上に 121 を,
- 2回目に取り除かれる2つの区間上にそれぞれ 122, 121+122, を,
- 3回目に取り除かれる4つの区間上にそれぞれ 123, 122+123, 121+123, 121+122+123 を,

このstepを無限に繰り返すと, 区間 I で稠密な集合 G 上で定義された単調増加函数 φ(x) ができる. これを区間 I に拡張するためには, 残りの部分 I−G, 則ちカントール集合 C で φ(x) を
と定義すれば良い. これを, カントール函数という. この函数は驚くことに, 連続であるばかりでなく, ほとんど至るところ微分可能である.
性質1 : カントール函数は連続
証明
もし, 連続でないとすると, ある x_0 \in I で不連続すなわち,
である. \varphi(x_0 - 0) \lt \varphi(x_0) は, \varphi(x_0-0) \lt y \lt \varphi(x_0) なる y を \varphi がとらないことを示すが, 明らかに n を充分に大きくすれば {}^\forall \varepsilon,\; \varphi(x_0 - \varepsilon) \lt y \lt \varphi(x_0) なる y がある. 同じことは, \varphi(x_0) \lt \varphi(x_0+0) にも言えるので不連続という仮定が間違っていたことになる.
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性質 : カントール函数はほとんど至るところ微分可能
証明
\varphi はG の上では定数であり, G^c の測度は0であった. すなわち, \varphi は微分可能 a.e.である.
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感想・参考文献
感想
不思議な函数やな.
参考文献
伊藤 清三 ルベーグ積分入門(新装版) (数学選書)
吉田 洋一 ルベグ積分入門 (ちくま学芸文庫)
服部 哲弥 難問克服 ルベーグ積分